共同幻想ユートピア

時よ止まれ君に永久の美しさを

看護師と自己犠牲②

 

看護師と自己犠牲① - 共同幻想ユートピア

↑①

の最後に自己犠牲と未来について考えが至った私。

 

次の日から腰痛を盾に私は休んだ。

多分1週間くらい。

あと2日くらいで休み終わっちゃうなぁ。と思っていた頃、祖母が他界した。

 

腰が痛え。なんて言ってられなかった。

緊入して、Opeしてすぐだった。

もうめちゃくちゃだった。

あっという間だった。

私は職業柄、人間が死ぬという状況に慣れてしまっていたから思い切り泣いて悲しんでしまえば、あとは冷静にこれからの処置や段取りなどを母や叔父に説明した。

我ながら冷たい奴だなぁと感じた。

 

 

 

 

祖母が他界する前、

祖母のOpe 待ちをしている時に看護部長から電話がかかってきた。

 

「腰の調子はどう?

明後日復帰できるでしょ?」

 

ここまでは別にいい。

私は腰の調子は良くはなってないがリハビリの効果を感じているとか適当に答えた。

そんな事より祖母が危篤で仕事には復帰できない旨を伝えた。

 

「え?休み長引かせるって事?おばあさまが危篤だから?本当は辞めたいからじゃないよね?病棟に迷惑がかかるよ?今回は

腰痛じゃなくておばあさまの危篤で休むって事?」

 

不機嫌に声を荒げた部長。

 

は?

お前の血は何色だ?

 

これが退職の決定打だった。

①で書いた師長と主任の職務怠慢も退職の原因だが、決定打はコッチだ。

 

知らない超高齢老人のオムツ交換要員と自分の祖母の危篤を天秤にかけなくても、バカでも脳みそ溶けててもどっちが大切かなんて分かるだろ?

 

他人に他人のための自己犠牲を強要し、家族の死に目に立ち会うよりも仕事をしろという。

そんな奴が人格者を気取り、ましてや看護部長だ。本当に終わっている。

 

だが、そいつらの存在と言動が罷り通るのが看護師の世界だ。

 

 

私は携帯画面を確認した。

宇宙人と繋がってるかと思った。

たしかに看護部長と繋がっている。

入職した時から部長のことは大嫌いだったが、マジで人間じゃないんだな。

もう辞めよう。クソすぎ。

 

自分を大切に出来るのは自分だけだと気づけた私は部長のこの発言を聞いて確信した。

 

一職員も、一看護師も大切に出来ない組織で、職員も看護師もティッシュのように一回使ったらすぐ捨てる病院なんだと。

 

まぁ、どこの病院もそうだけどさ。

わかってるけど、これはない。

あの発言はあり得ない。許さない。

 

 

その時、祖母のOpe が終わり私は

 

「とにかく今は無理です。

今、祖母のOpe が終わってどうなるか分からないので明後日からも復帰はできません!」

 

これだけ言ってブッチした。

そのあとの病院からの猛連絡は総スルー。

 

 

連絡を取ったのは祖母が他界して葬式などがあり、忌引きの二日間では全く足りないので有給を使って休みたいと連絡した時だった。

 

まさかの部長は何故、私が休みを延長したか病棟の師長にも主任にも話していなかった。

自分で連絡した仲良しメンツしかしらないじゃん。

 

部長マジか。クソが。

 

電話口で師長と主任に経緯を説明し、休みをもぎ取り葬儀や諸々を終えた。

 

病棟に復帰し朝の申し送りで、休んだことの謝罪をした。

「今日からまた頑張ります!」

笑顔で他スタッフに宣言して、その日は業務中に時間を頑張って作り、今月中に辞めたいということを伝えた。

 

それに対して師長は

「え!?何言ってんだか、この子は。

自分の人生のこと考えてる?」

 

と言った。

 

いやいやいやいやいやいや!!!

考えてるから言ってんだろーが!!

思わず、

 

「は?私の人生ですよ?

考えてないわけ、なくないですか?考えてるから辞めるんですけど!!」

 

て、でかい声で反論していた。

マジで気がついたら口から出てしまった。

本当に本心だった。

 

逆に貴方は私の人生考えているわけ?

絶対考えてないじゃん?だって他人じゃん?

なのに何、私の人生を引き合いに出してるの?

 

 

意味わからん南無阿弥陀

早く墓にダイブしろ。

 

 

部長にも話し、散々文句を言われ退職届の書式は後輩に横流ししてもらい書いた。

 

日付間違えて、書き直すのがダルすぎて退職日の朝に書き直したら院長の名前とか抜けまくってて部長クラークに頭叩かれた。

「Cさんこういう所テキトーだからな。」って

 

 

部長クラークさんにはたまに相談したり話し掛けてて、意外にも私にハマってくれて仲良かった。クラークさん、毒吐きまくりで好きだったなぁ。

祖母が他界する前は2020年いっぱいで辞めようかと考えていて、相談したり意見を貰っていたから

 

「あんなに話したのに、

このザマ(辞めるの)かよ。」

 

って笑ってた。そういう所が好き。

 

病棟のヘルパーさん達や退職を知らなかったスタッフは急な退職に驚いていた。

 

いや、逆にここで44年とか勤めてる貴方達にびっくりなんだけど?

 

ヘルパーさん達とのお別れは悲しかったけど、

それだけ自分がヘルパーさん達に懐いていて、ヘルパーさん達も可愛がってくれたんだなあとわかった。

 

 

退職理由はここで書いたことが本心だけど、そんなの正直に言えないから適当に見繕ったそれっぽい理由を言った。

 

初めて仕事に対する自己犠牲や上司の職務怠慢などについて考え、それらを共有して議論できる同業者の仲間を持てたこと。

 

仕事仲間だとしても、私を孫や娘のように可愛がってくれた人々と仕事を共にできたこと。

 

 

学びと社会経験とが沢山できた職場であった。

 

 

特に同業者の仲間を得た事が1番良かったし、嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

おわりに

昨今はCOVID-19(コロナ)で医療崩壊だの看護師不足だの騒いでいるけれど、医療崩壊を招いたのは今まで医療従事者をティッシュみたいに使い捨てにしてきた結果だし、潜在看護師が復職しない理由なんて露骨に分かってるはずだよ。

例えば過酷すぎる労働環境に横行するパワハラ、安すぎる給料とかもあるけれど。

なによりも私達を使い捨てにして大切にしないからじゃん。

 

 

しかも看護師は昔から常に不足しているよ。知らなかったのか?

 

 

 

最近では医療従事者でもないくせして、Twitterには看護師のつぶやきに噛み付く人がいる。

 

TVでも現場の実際も看護師の仕事も知らないくせに非難する芸能人司会者もいる。

 

 

どうして何も知らないのに他人の畑を荒らせるの?恥ずかしくないの?

 

だって自分の無知と知ったかぶりを振り回して暴れてるんだよ?

 

自分が正しいって主張してるそれ、誰が正しいって決めたの?

 

だって貴方は実際を何にも知らないじゃん。

 

それなのに非難して噛みつくの、

すごーく恥ずかしい事だと思うんだけど?

 

 

そういう人はさ、医療従事者や看護師に対して

"してもらえるのが当たり前"

だと思ってるんだとおもう。

 

入院している患者も8-9割はこの考え。

どうして私達看護師に何かしてもらえるのが当たり前だと思うの?

 

どう考えても

"してもらってる側"

 

じゃん。普通の神経なら申し訳ないとかそういう気持ちが少なからず生まれるハズなんだけどな。

 

"してもらえるのが当たり前"

 

の方達は自分が他人に、

 

自己犠牲を強要している事に気づいている?

 

 

TVで医療や看護師を非難している芸能人、

自分の他者(視聴者)に対しての影響力を使って特定の職種の私達に自己犠牲を強要している事に気づいている?

 

 

そしてこの記事を読んで、

 

「看護師なんだから自己犠牲が当たり前だろ!なりたくて看護師になったんだから!」

 

と非難したそこの貴方。

また、Twitterなどで上記のような考えを発言しているそこの貴方。

 

自分に出来ない自己犠牲を看護師という人間に強要している事に気づいていますか?

 

 

国家資格を取らなくてはならないほどの責任のある仕事をこなし、

 

他者の命に責任を持ち、

 

他者のために自己犠牲を払って働いている私達と同じだけの覚悟と労力と自己犠牲が貴方に払えますか?

 

そこまで考えて、発言をしていますか?

 

 

 

 

コロナや医療崩壊が始まった影響で、

今、医療従事者は命の選択を迫られている状態です。

 

 

貴方は選ぶ側じゃない。

 

選ばれる側になっている。

 

 

もはや命は平等に救われるという状況は終わっていると思う。

 

でもそこまで医療が追い詰められたのは、医療と医療従事者を軽視して、使い捨てにして、「〜だから当たり前」精神を通してきた国と国民だと思う。

 

 

みんながみんな、そういう考えだとは思っていないけど。

 

圧倒的多数のその考えが医療と医療従事者を追い詰めていったと思うよ。

 

 

まぁ、今それが分かってきただけまだマシなのかな?(おっそいけどな!!)

 

 

もしこの記事を読んでそれに気づけたら、自分の医療従事者に対する考えを改めて欲しい。

 

私達は貴方達と同じ人間で、何でも言うことを聞く犬じゃないし、医療の全ては私達医療従事者の自己犠牲の上に成り立っていることを理解してほしい。